おぼろ染め(襲ね絞り)
疋田、鹿の子、縫い締めなど絞りの技術はきものを作る技法として伝えられ、正倉院供物にも「纐纈」の名前で沢山見られます。
伝統技術として伝えられた絞り技法は時代と共に発展、進化し、その時代のニーズに あわせた技法が生み出されてきました。
おぼろ染とは何色もの地色を、きわをぼかしながら染めかさねた生地に特殊な染料を使い、絵柄を重ねることにより、地色が変化し、さらに柄の輪郭がほんのりに変化する染技法のことをいいます。
さらに柄にそって絞りや刺繍を加えることで従来にない立体感をだします。
おぼろ染め(工程)
友禅
特殊な染料と型紙を使い、友禅染めの技法を用いて生地を染めます。色のかさなり合う部分が、おぼろ染め独特の変化を起こします。
引染
鹿の毛で作られた刷毛を使い、生地をぼかし染めします。色のかさなりやぼかし加減によって、柔らかなグラデーションが生まれます。
糸入れ
針に糸を通し、細かい柄の縁をすくうように縫っていく工程が「糸入れ」です。なめらかな曲線を縫い上げるには集中力が求められます。
絞り
柄のひとつひとつ丹念に糸を引き締めて結び、膨大な時間を費やして絞り上げていきます。熟練した職人だけが成し得る高度な技です。
刺繍
相良刺繍をはじめとする特殊な刺繍を柄に合わせて使い分け、染めと絞りが描き出す色・柄により美しい立体感を演出します。
糸解き
「蒸し」の工程を経て糸を解いていきます。複雑に絡み合う絞り糸を指先で探りながら、生地を切らないよう丹念に解いていきます。
色さし
固く絞り上げた模様の1つ1つを慎重にみきわめながら色をつけてゆく。筆先に神経を集中して進めていく大変に難しい工程。
おぼろ染め訪問着(4件)